セールスの科学
営業は変革しなければならない?
消費者のニーズは多様化・複雑化を極め、また、企業間の競争はグローバルに、そして激化する一方である。そのような厳しい環境のなかで、インターネットという強力なマーケティング・メディアが誕生、普及し、ブランド理論やCRMなど、様々な概念が提唱されつづけている。
しかし、それらは本当に有効なマーケティング政策に直結しているだろうか?多くの企業では、営業という原点に立ち返りつつある。事実、筆者のもとにも、営業力を強化したいという企業からの相談が増えている。
マーケティング理論によれば、営業とはプロモーションの一要素として位置付けられる。そのプロモーション手法の中でも、多くの業種において人的営業は非常に大きなパワーを持っている。
どんなに電波が多くのヒトに届き、ネット上のマイニング技術が高度化しようとも、顧客を啓蒙する力、交渉する力、提案する力は人的パワーにはかなわないに違いない。人的営業力を活用することは、戦略的にも重要な意味があるといえそうだ。
その一方、“営業は足で稼ぐもの”とも言われる。それは決して否定ではないが、近年の激烈な競争下では、足だけで稼ぐことは難しい。
人的営業に求められる機能を根本から見つめなおし、顧客のもつ購買課題に適応する機能を果たしていくことが求められているのである。
これまで営業機能については、あまり科学的に取り組まれてこなかった領域の一つである。本稿では、本来の営業のあるべき姿、営業機能における「最強の構造」を探り、企業の営業面の戦略的な構造改革に資するものとなれば幸いである。
まず、戦略ありき
営業といっても、闇雲に飛び込み営業をして成果をあげることのできる時代は終わった。顧客のニーズを的確に見極め、戦略的な営業資源(営業マンとその持ちうる時間やエネルギー)投入の最適化を図らなければならない。
事業戦略としては、誰を顧客ターゲットとして狙い定めるかがキーとなる。
そして、もうひとつのキーが、その顧客にどのように訴求するか、つまり販売プロセスにおける付加価値を明らかにすることが必要だ。この戦略の両面が確立してこそ、明確な戦略目標が生まれる。
それに向け、いかなる営業戦略に基づいて営業行為がなされるかが重要であるといえるだろう。
営業ターゲットは誰か?
当該事業の営業が狙うべきターゲットを明らかにしなければ効率化は望めない。
つまり、一律に営業資源を投入するのではなく、重要顧客を明確にすることから営業戦略は始まる。
ABC分析等は多くの企業が実施している手法であろう。ABC分析は単なる実績に基づく顧客識別で、本来の重要度と異なることも多い。あくまで顧客の客観的重要性識別を行わなければならない。市場をセグメントして、最も自社にとって魅力的な顧客を抽出することが営業戦略としてキーとなることが多い。
ここでは、更に一歩突っ込んだ重要顧客の見極めを行い、どのような顧客のどの購買検討シーンを営業ターゲットとするかを明らかにすることによって、より効率の高い営業戦略を構築することを提言する。
お客様の購買特性を把握
では、そもそもその顧客はどのように商品の購入を決定するのか?そのメカニズムを知らずして営業戦略を構築することはできない。「まずは顧客を知れ!」である。
一般的なマーケティング理論に「態度変容モデル」なるものがある。代表的なものとしては「AIDMAモデル」はご存知の方も多いだろう。
顧客は、最初にその商品の存在や名称を知るところから始まる。その後、興味や欲求を感じながら、徐々に購入意欲を高めていった結果として購買行動が起こるというものだ。
企業は、この「態度変容モデル」に立脚して、購買行動に導くための政策が打たれているだろうか?実際の顧客が何を考え、何を感じ、何に迷い困りながら、商品の選定をしているかをしっかり捕らえなければ、適切な打ち手は期待できない。
実際に、営業戦略の犯しやすい誤りとして、ターゲット顧客は絞り込んだものの、「購買検討シーン」については明確な戦略を有していないことが多い。
飛び込み営業によって商品をいきなり紹介し、カタログを説明して内容を理解してもらい、特徴やメリットをアピールして興味を持たせる。さらに、再訪問を繰り返したり、見積もり出したり、デモを繰り返して、買う気になるまでがんばる。
これでは何から何まで営業が孤軍奮闘しているようで、効率は上がらないのは当然であろう。もちろん、企業はそのプロセスの間に展示会やイベント、キャンペーン等々を織り交ぜて様々な刺激を与えているわけだが、顧客の購買行動に焦点を絞り、適切な刺激策を与えつづける科学的プログラムとなっていることが重要なのである。
営業が担うべき機能を明確にし、他のマーケティング政策とともに統合マーケティングが展開されることになる。
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