事業戦略って何だ!?
マーケティング戦略構築プロセスで「事業戦略はマーケティング戦略構築のガイドライン」になるというお話をしました。事業戦略の明確化は、有効なマーケティング戦略には不可欠な要素なのです。
もう少し細分化してみると、事業戦略とは:
- 事業目的の実現に向け
- 事業ドメインを設定し
- 最適な経営資源の配分を行い
- 持続的競争優位を確立する
しくみと諸施策の枠組みを決定することです。
「えっ?それだけで良いの?」という誤解を招くので少し補足しますと、厳密には、これら4つの要素以外にも、自社の置かれている環境を見据えた上で、考慮しなければならない、たくさんの要素があります。つまり、【環境に適合するために必要な要素を考える】という視点が必要になります。
今回は、ケーススタディーのように環境設定して・・・と言う事ではなく、最低限抑えておきたい、さきほどの4つの要素を、一つずつ見てみましょう。
事業目的
事業目的によって、事業戦略は規定されます。
高度成長期には売上高やシェアの拡大による利益獲得が目標に設定されていることが多くありました。そのために企業は積極的に投資し、販売チャネルを強化し、より多くの顧客へマスマーケティングを展開していました。しかし、昨今の低成長期に入ると、「効率」が重視され、ブランド価値の向上や顧客ロイヤルティが注目されるようになっています。
利益の確保は当然の成り行きではありますが、それは戦略目標が達成されたときの「結果」のひとつであって、如何にしてその結果を導き出すかというところに「事業目的」が必要です。
事業目的が単に「利益の確保」などと言ってしまうと漠然としてしまいます。
- 自社の事業によって顧客にどのような満足感を与えたいのか?
- そのために、顧客に何を提供するのか?
- その結果、自社に何を残したいのか?
できるだけ具体的に設定していくことが重要になります。まず自社の事業が持つべき目標を明らかにすることが、戦略の立脚点となるのです。
事業ドメイン
事業ドメインを定義することにより、戦略をより明確に、かつ有効なものにできます。
例えば、「プレイステーション2」という家庭内ゲーム機を考えてみてください。元祖プレイステーションの時代には、単に家庭内ゲーム機と定義していたのでしょうが、PS2になってDVDプレイヤーやインターネット接続の機能が加わり、事業としては様々な展開が可能になりました。これを「ITを用いたエンタテイメント事業」と定義してはじめて、オンラインゲームは競争相手ではなく、協業可能な事業機会と捉えられるようになります。
このように、事業ドメイン設定は、今後の事業投資の範囲を明確にし、競争相手の特定を可能にする重要なファクターなのです。
資源配分
複数の事業を有する場合を考えてみてください。「湯水のようにお金が涌いてくる」という恵まれた方でない限り、限られた資源をそれぞれの事業に配分することになります。その投資方針によって、全社戦略における各事業が果たすべき役割が明確に見えてきます。
当然、将来成長が期待できる有望事業には、当面利益が出なくても投資を続けるでしょう。逆に利益が出ていても更なる投資を抑えなければならない事業もあります。つまり、部門最適を犠牲にしても、全社最適の観点から資源配分、投資方針を決めなければならないのです。
競争優位性
そして、競争に勝つための自社独自の競争優位性を構築することが必要になります。現在は、全く競争のない環境に自社が位置することは殆どあり得ない社会環境です。自社がNo.1を自負できる機能、市場を明確にし、No.1となれる「勝ちパターン」を明確にすることで、全社、全部門、現場全ての行動ベクトルが一致し、組織としての強みを発揮することができるようになります。
「事業目的」「事業ドメイン」「資源配分」「競争優位性」を明確にすることで、具体的な競争環境にどのように適合していけばよいかが見えてきます。事業戦略が明らかになってはじめて、マーケティング戦略構築において、事業戦略に沿った強みと機会を生かし、弱みと脅威を排除していくことを考えられるようになります。
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