自分の立場によって攻め方も変わる?
これまでに何度もお話しているように、実際のビジネスの世界では自分だけがその業界に存在しているということはありません。少なからずライバルが存在する状況であれば、自ずとそこには「業界内での地位」が存在します。
つまり、業界のトップ企業もあれば、2番手、3番手の企業もいることになります。
では、何を持って一位とか二位とか言っているのでしょうか?一般的には、業界内での地位を比較する場合には、その市場における企業の占有率、すなわち「シェア」により比較しています。
「一位とか二位とか、人間は順位にこだわり過ぎだよ!」なんて言っている人は居ませんか? 確かに、哲学的な思考や文学的な表現、個人の人間が生きていくということに関して言えば、順位なんて関係ない場合もあるかもしれません。しかし、ビジネスとして活動する限りにおいては、存続、成長、利益の確保という大命題を満たしていかなければならないのですから、市場における自社の地位にも、意識を傾けることが重要です。
だからといって、何故そんなに「業界地位」を意識しなければならないのでしょうか?
企業は自らの目標を達成すべく、戦略を立てて市場に臨みます。その際の戦略には、業界地位に応じた定石があるのです。この定石は、必ずしも絶対的なルールだというわけではありませんが、その意味合いをよく理解したうえで、戦略構築のガイドラインとしていくことは非常に有効です。
先ずは、業界における地位についてです。相対的な順位と行っても、一位の戦略、二位の戦略、三位の戦略・・・と延々と考えていくわけではありません。
ここでは、大きく4つのカテゴリーに分割して考えることになります。「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」の4つです。何故このような分割をするかというと、前述した「業界地位に応じた戦略の定石」として、大きく4つの分割をしていることに起因しています。
それでは、それぞれのカテゴリーには業界のどのランクが該当するのかと併せて、それぞれの地位で採用される戦略の定石を見ていきましょう。
リーダー
この地位には、業界一位の企業が該当します。基本戦略としては市場全体を対象とした全方位戦略を採り、シェアやブランドの確立を目指します。この時に定石とされる戦略目標は、市場拡大と同質化の方向に集約できます。
市場の拡大は、最大シェアを持つ自社に最も大きな成長をもたらすことを目的としています。つまり、拡大した市場の中でのシェアの維持を目指します。一般に、市場規模の縮小を招く低価格政策は通常採りません。また、同質化は、チャレンジャーの打ち手と同質な戦略をとることによって、チャレンジャーとの格差を縮めない防衛策となります。
チャンレンジャー
この地位は、リーダーに挑む第2位の企業が該当します。基本戦略としては、リーダーに対する差別化戦略です。リーダーが出来ないこと、やりたくないことを見つけ出して、そこを突くわけです。大概のリーダー企業は巨大ですから、巨体であるが故に動きが取れないところや、できないことにフォーカスして戦略を立てていきます。つまり、これはリーダーの同質化戦略に対抗することを意味しています。
フォロワー
この地位には、業界3番手以下の殆どの企業が該当します。通常、リーダーとチャレンジャーが採用し、市場に受け入れられている政策の模倣が定石戦略です。このクラスの企業では、一般には経営資源に限りがあり、大きなリスクを被れません。そこで、確実に成功できるローリスク・ローリターン戦略を採るのです。場合によっては、自社のコスト構造を生かした低価格戦略を採ることもありえます。
ニッチャー
この地位に該当するのは、規模の成長より、特定のターゲットに対して強い企業です。
一般に、ニッチャーの定石戦略は、特定化戦略です。ブランドパワーや収益力を優先し、常に差別化を強めることを目指します。また、この企業は、自社が取り組む「ニッチ市場」ではリーダーの地位という考え方もできます。つまり、ニッチ市場でのシェアを維持しつつ、その市場の拡大を図ることも有効になります。
もちろん、僅差で業界トップを競り合っている2社があれば、どちらがリーダーということを決定しなければいけないわけではありません。あくまでも、戦略決定において、どのようにアプローチするのかが重要事項であり、絶対的なものではありません。
さらに付け加えるならば、今回お話した事項は「定石」であり、現実の戦略構築にあたっては、個々の戦略の持つ意味合いと有効性を見極め、自社にとって最適な戦略を構築しなければならないことは言うまでもありません。
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