市場機会と取り組むべき課題を探せ!
前回までの5回に渡って、様々な環境分析と、効果的なフレームワークについて紹介してきました。もう一度簡単に振り返ってみましょう。
経営環境分析
「PEST分析」によりマクロ環境(政治、経済、社会、技術)面を網羅的に捉え、「3C分析」によって市場、顧客、競合、自社の環境要因を抽出しました。
マーケティングリサーチ
環境分析を実施するためには、仮説に基づく事実確認(Fact)が重要です。プライマリーデータ(一次データ)とセカンダリデータ(二次データ)の活用方法や、定量調査、定性調査といった様々な調査手法により、仮説を裏付ける事実調査をしました。
業界環境の分析
3Cでも競合分析をしましたが、ここでは更に一歩進め、業界にフォーカスして5つの力について分析しました。5つの力とは、(1)新規参入の脅威、(2)買い手の交渉力、(3)売り手の交渉力、(4)代替品の脅威、(5)業界内の競合状況、です。これら五つの力のバランスがどの様な状況にあり、将来的にどの様に変化していくかを分析しています。
市場セグメンテーション
市場を細分化することで、自社がどの様なマーケットに挑んでいくのかを具体的に把握しました。様々なセグメンテーション軸を組み合わせて考えることによって、アプローチすべき細分化された市場のKBFを明確化することを試みました。
バリューチェーン
自社や関連企業の機能に着目して細分化することで、自社が顧客に対して提供している価値を再認識しました。顧客の得る価値は、それに関わる企業活動の連鎖によって作られるという観点から、自社環境の分析をしました。
ここまでの分析で、様々な環境要因が抽出できていると思います。しかし、このままでは、「事実や仮説を並べただけ」になってしまいますね。そこで、次のステップとしては、抽出された環境要因を俯瞰して、市場に潜在するチャンスや、自社が克服すべき課題などを分析し、具体的な戦略構築、戦術の選択につなげていく必要があります。つまり、事実や仮説に『意味を持たせる』のです。
マーケティングでは、やはり、抽出した環境要因を俯瞰するのに便利なフレームワークがあります。「内的要因/外的要因」×「プラス要因/マイナス要因」という、2×2のマトリックスを用いた「SWOT」といわれるフレームワークです。
このマトリックスで分割された各象限は、それぞれ、自社の強み(Strength)、自社の弱み(Weakness)、市場における機会(Opportunity)、市場における脅威(Threat)を表しています。これらの英語表記の頭文字をとってSWOTと呼んでいます。
このように分類した上で、改めて抽出された環境要因を俯瞰することによって、自社にとっての市場機会を発見するとともに、自社が克服しなければならない課題や、予め心得ておかなければならない脅威などを見出すことが可能となります。
(1)機会×強み
ここから生み出される論点は、自社にとって有望な市場機会です。ここでは、如何にしてその機会に自社の強みをぶつけて他者との差別化や、自社の強みの最大化を図るかを考えます。
(2)強み×脅威
強みと脅威からは、たとえば二つの視点が考えられます。ひとつは「脅威を覆す強み」、もうひとつは「強みによる脅威」です。これらは表裏一体とも考えられます。
自社の強みを持ってすれば、市場に存在する脅威を機会に変えられる場合もあります。しかし、強みと言っても、それが常に持続性を持つとは限らないですから、他社が画期的な新技術の開発に成功した場合には、強みは一気に打ち消されてしまうかもしれません。
(3)機会×弱み
ここでは、自社が克服しなければならない課題を表出させます。市場にはチャンスとなる要因があるにもかかわらず、自社の弱みによって、そのチャンスを活かせない可能性があるわけですから、ここは何とか克服したいものです。
(4)脅威×弱み
市場には脅威が存在し、自社の弱みとクロスする環境であれば、どちらかが消滅しない限りにおいては、取り組むべき市場環境ではないかも知れません。
このほかにも、例えば「機会×脅威」という視点もあります。一般に、成長市場には競合が参入してくるものです。すなわち、機会を裏返せば、大きな脅威であると考えられます。
例えば、「エコロジー商品」の市場が急成長しているという機会があり、自社にはリサイクル技術の強みがあるとすれば、今後の自社の戦略上、魅力的な市場機会と判断できるはずです。
しかし、例に漏れず、エコロジー商品ビジネスには、既に様々な業界から大手が参入しています。最近では、大手A社が画期的な新技術の開発に成功しそうだとの情報もあります。一報で、商品を変えるためには顧客に少なからぬ投資を強いることになりそうです。
さらに、自社では、これまで消費者向け商品は扱ったことがなく、流通チャネルを持っていないことが弱みとして上げられており、克服しなければならない課題として認識しました。
このように、ひとことで、SWOT分析といっても、様々なモノの見方ができます。経営環境に適合するための戦略を綿密に構築するために、市場機会の認識とそれをとりまく環境分析が非常に重要なテーマです。
全体を俯瞰的に見る際には、今回紹介したSWOT分析マトリックスが大いに役立つと思います。考えうるあらゆる視点から客観的に環境を分析してみることが重要です。
シナプス一番人気!初心者でも安心の必須講座
「マーケティング・ベーシックス」受講生募集!










